河原樋山へ行こう!
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今治谷とアカガシの木
距離 約1.6km
標高差 約300m
国道・県道
徒歩
下記写真の場所
  

国道317号線、河中町。
「平井 川の郷→」の標識のある-

日浦小学校入り口の横の道・県道へ右折します。



県道196号河中平井停車場線を南へ。
県道沿いには山の幸が名物の食事処が何軒かあります。
写真は石虎亭入口。



ふと、対岸を見ると柵の中に動物が…。
せせらぎ亭のイノシシ牧場のようです。

お! カメラ目線。
じっと見てます、ぶひ。

その先にせせらぎ亭入口。



  

民家や田畑が集まった福見川地区。
ここを左折すると福見寺参道へ。

目印はこの案内。
「←天然記念物 三本杉」もこちらから。
スルーして県道をもう少し進み-



  

右カーブの外側に今治谷登り口があります。

※登り口にある駐車スペースは今治谷にお住まいの方の駐車場です。
入山者のための駐車場ではありません!
絶対に駐車しないように!

「アカガシ→」などの案内看板が目印。
善人杖も並んでます。

アカガシ一本

松山市指定天然記念物
昭和56年4月20日指定

根回り8.3メートル、目通り周囲
6.3メートル、樹高25メートル、
樹齢三百年を超えると推定されている。
樹勢は、旺盛であり愛媛県内最大である。
近くには、江戸時代中期の墓碑や神社跡もあり人々の往来もあり、周辺の木は幾度も伐採されたろうが、このアカガシの大木だけは、山の神として崇敬され保護されてきたのだろうといわれる。

松山市 松山市教育委員会

訪問当日は初冬の寒い朝でした。
日陰にはまだ霜の花が咲いていました。

人一人分の幅の山道を登ります。
途中、何カ所か、古電柱を利用した橋が架かっています。
基本、頑丈ですけど、なにげに踏み抜けてたりします。



福見川の田畑へ水を送っていた水路が左から合流。
しばらく、沿って歩きます。

迷うような所はありません。
「アカガシ→」の案内もあって安心。



丸太組みの橋を渡り、少し行くと-

集落の水源がありました。
おじさんが管理に来られてました。

水源を左に見送り、渡渉します。
沢の水、美味しいです。



S字カーブの登りにて。
ふと、左の谷を覗くと、倒木が溜まっていました。

市や県は森の保護、維持、管理を呼びかけはします。
でも、地域、地権者らのボランティア頼りが現実です。



「アカガシ あと1000m→」
やっとここらで中間地点。
だいぶ登ってきたような気がするけど…。



また渡渉すると-

昔、畑かわさび田でもあったんだろう、
段々の石積みが残っていました。
自然に還すべく、杉が植林してありました。

左右を石積みに挟まれた道の先。
足下の丸太橋に目をやると-

「今治谷分 昭和37年5月」
電柱だった頃のプレートがまだ付いてました。

沢を挟んだ右側にも、
自然に還りつつある段々畑の石積みが、
ひっそり、残っていました。

看板の角にマグカップ。

持参のカップで喉を潤します。
美味しい。



冬枯れた道はちょっと寂しげ。

ここらも畑だったのか、一瞬ですけど、
左側が平らかに明るく開けます。



「あと500m」

もうちょっと。



急に明るくなって、視界がぱっと開けます。
今治谷集落に到着です。
朝日にススキが黄金色に輝いていました。
今治谷に唯一、住んでいらっしゃるお宅も見えてきます。

  

まっすぐは、そのお宅へ。
アカガシは看板を右に進みます。

  

看板に沿って進めば、「←アカガシ」の案内がありますが、
真っ直ぐ進み-

今治谷の暮らしを守り続けられてるお宅の前に出ました。
鶏小屋があったり、裏の小屋には薪が詰んであったり、
畑もあるし、ちょっとしたオアシスです。
一段高い所ではログハウスっぽい小屋が手作り中でした。
※あれからだいぶ月日が経ったけど、もう完成したのかなぁ。

お宅がある場所はこんなに見晴らしのいい所です。

立派な犬小屋に住むちょっと照れ屋の犬さん。

  

犬も毎日見てる高縄山、大月山。



  

山頂へ向かう前に、見ておかないと損するものがあります。
このお山の主、アカガシです。
お宅から少し登り、廃屋が見える石積みの前で左折。

奥にまた廃屋。
それを左に見送り、右折。

案内に従って左折し、森の中へ入って行きます。

竹林をジグザグと登ると-



杉林のスクリーンの向こうに巨大な影。

ついにアカガシの巨木にご対面です。

小さな祠が祀られてました。

レンズに収まりきれないほどの思わず息をのむ大きさです。
言葉を失うというか、ため息しか出ないというか、とにかく圧倒されます。

全体像を撮影しようと、うろうろしてたら何度も滑って転びそうになりました。
それくらい傾いた傾斜地に山の主はしっかり根を張って聳えてます。
真横に伸びる枝は周囲の木木よりも遙かに太く、たくましく、
まるで剣を振りかざす太い腕のよう。
力強い姿はいわば阿修羅のごとく、山を守っているかのようでした。

写真だけでは伝えきれない感動がそこにはありました。

ひとりごと

福見川へ行く途中、ヤボ用で寄り道した際、山へ入る準備をされてたおじさんたちに出会いました。
おじさんの連れが安全靴に履き替えている間、ちょこっと立ち話をしました。
おじさんが入ろうとしているのはおじさんの持ち山だそうでした。
森が荒れ放題になるのは「みすぼらしくていかんわい」と云って、農閑期には時々、入るんだそうです。
道を塞ぐ倒木は片付け、風が通るくらいに雑木は刈って木の根が拡がりやすくしてやるんだそうです。
荒れてるお山が多い中、おじさん、偉いなぁ。
そういえば、ここいら周辺は松山市の水源の森。
おじさんの私有地とはいえ、水源管理の名目で草刈り機の燃料費とか、ちょっとは補助が出てるんだろうか?
気になって、おじさんに訊いたら、まったくもらって無いんだそうです。
えー、おじさん、自腹でやってるの!?
ますます、偉さ倍増です。
おじさんと話しててひとつ、気になることを聞きました。
おじさん曰く、市や県は、倒木も、ぼーぼーと生える下草や雑木も放っておくのが良い、みたいなことを言ってるそうです。
これにはちょっと驚きました。
僕には、お金を出さない為の行政側の言い訳にしか思えませんでした。
山を放置することで人工の森が天然の森に簡単に還るわけないと思います。
きちんと管理された山の方が地力もあって、水源の森としての保水力もあります。
そう云ったら、おじさんも、そうだ、そうだ、と意見が一致しました。
私有地に対しては放っておくのが良いと云いつつ、市や県が管理してる森林は雑木もない。
間伐も行き届き、見通しも風通しも良くてスッキリ。
一方で、数年前の台風でやられた当時のままだったりする。
倒木が尾根や谷間を埋め尽くしていたり、地図に描かれた道がヤブにまみれてたりする森があります。
両者のギャップにはそういうおかしな裏事情もあるようでした。
なんか、おかしいなぁ…。

一応、云っておきますけど、おじさんはお金が欲しい、みたいなこと、一言も云いませんでした。
庭先の雑草をむしるのと同じように話されているのがとっても印象的でした。

松山の水源は、里山に住んでるおじさんたちが手弁当で守ってくれています。
その森から溢れる水で命を長らえている我々に、なにかできることはないのでしょうか?
例えば、愛媛で使われる割り箸を全部、間伐材で作ったものに切り替えるとか。
最低でも、庁舎の食堂で使われる割り箸だけでも。
その売り上げを森林保護・育成に充てるとか。
森から得たお金が森の保護に回る、そんな循環ができないものでしょうか…。

おっと!
話が逸れ過ぎて、暗い森に迷い込みそうでした。

さて、今治谷への道は、毎日、誰かしら歩かれてるせいで、不安な場所はほとんどありません。
今治谷にはただ一軒、高塚さんって方が住んでらっしゃいます。
当日はお逢いできなくて残念でした。
…といっても、面識は一切ありません。
鉄塔へ上がる道とか、山のこととか、お尋ねしたかったくらいなんですけど。
お子さんがいらっしゃるようで、毎日、あの山道を往復して日浦の学校まで通ってるんだそうです。
冬、雪が積もったり、凍ったりしたらさぞ大変だろうに…。
ホント、凄っ!

今治谷から数分で出会えるアカガシの巨木、これまた凄いです。
もの凄く、大きいです。
こればかりは実際に生で見ないと伝わらないと思います。

戦後、多くの巨木が伐採されました。
戦争で焼け野原になった町にどんどんと住宅を供給するためでした。
あの屋久島でも次々に巨木が切り倒され、島の森は荒廃寸前まで行きました。
郷土愛に燃えた若者たちの自然保護運動によって、あの縄文杉はなんとか伐採を免れ、生き残ったのでした。
愛媛でもきっと多くの巨木が切り倒されていったことでしょう。
海外からの安い輸入材のせいで、国内の林業は急激に衰退しました。
反面、おかげで生き残れた木木もたくさんあります。
このアカガシは多分に御神木として、伐採の対象からは外されていたと思いますけど。
「背に腹は代えられぬ」人間様の事情によっては、他の巨木と同じ運命を歩んでいたかも知れません。
一方、人の手を借りなくても、巨木化するほど、落雷被害、土砂崩れなど、枯れる危機は常にあります。
よくぞここまで育ったアカガシの木。
その幹に抱きつくと、生命力をちょびっと分けてもらえたような不思議な気分になるのでした。

それにしても、巨木の撮影は難しいです。
一部を切り取ったんじゃ大きさが分からない。
全体を撮ろうと離れれば迫力が損なわれてしまう。
木の前に誰か立たせて撮れば、人と比べてこんなに大きいんだって一目瞭然だろうけど、お山歩はいつも僕一人。
セルフタイマーで自分撮りっていうのはしたくない。
ただ木だけ撮って、巨大さを表現できることってできないかなぁ。

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