明神ヶ森、福見山は、石手川の源流域にある、古くから人々の信仰を集めたお山です。
奥道後玉川県立自然公園。
明神ヶ森は、東三方ヶ森に連なる山脈に位置する、松山市の最高峰のお山です。
最高峰ですが、市街地からは奥道後の杉立山が楯になって見えません。
お城山や大峰ヶ台(総合公園)や、松山平野の海寄りの場所なら、尖った山頂部分を望むことができます。
福見山は明神ヶ森と尾根繋がりのお山です。
尖って見える明神ヶ森の手前にある丸くなだらかに膨らんだお山が福見山です。
明神ヶ森・福見山は高縄山系に属し、南三方ヶ森(白潰)で東西に分かれた尾根の西に転じた尾根の方に位置しています。
その尾根は松山市と東温市の境界尾根で、尾根の北に降った雨は石手川に流れ、南に降った雨は重信川を満たします。
ふたつの川が河口の出合いでひとつになるまで、道後平野の田畑や流域に住む50万人を潤す、明神ヶ森・福見山の森は命の水源林です。
緑濃い山には大木も多く、北の登山口、福見川周辺には、松山市指定の天然記念物の巨木が2つも存在します。
新宮神社の三本杉は、樹齢360年、高さが55m、幹の周りが12mもある、神々しい大木です。
今治谷にある巨大なアカガシの木は、樹齢300年以上、高さも25mと、これまた立派です。
明神ヶ森山頂の直前で、ブナの森に出会えますが、石手川源流部の森林を保護・育成・管理している愛媛大学部農学部附属演習林の一部です。
明神ヶ森・福見山の尾根道は、今治玉川の楢原山にある奈良原神社、西条丹原の黒滝にある黒滝権現を結んでいます。
昔は山伏が行き交った修験の道でした。
山岳信仰が盛んだった時代、明神ヶ森の山頂には、雨滝龍神社という、雨乞の神として知られていたお宮がありました。
山頂のちょっとした広場は境内だった頃の名残で、文明4年(1472)、現在地(重信町山之内)に遷されました。
ともに熊野修験道の行場だった福見寺の方はいまでも福見山の山麓に建っています。
奈良時代の開基とも伝えられる古刹で、本尊の木造聖観音菩薩立像は愛媛県の有形文化財に指定されています。
寺はいま無人なので、本尊は麓の山之内へ移転しています。
東温側から境内まで林道が通じているため、アクセスは容易です。
明神ヶ森から東へ、南三方ヶ森(白潰)、東三方ヶ森方面へ尾根伝いの行者道を利用した縦走路があります。
近年は利用者が少なく、荒れているほか、小ピークのアップダウンが連続します。
体力・時間ともに余裕をもって望みましょう。
※遭難情報:2010年10月23日
山岳遭難者を救助 愛媛県警ヘリ
23日午後5時ごろ、愛媛県東温市の明神ケ森付近の山中で、今治市恵美須町の会社員Kさん(49)から「帰り道が分からなくなった」と携帯電話で110番があった。
今治、松山東両署などが捜索したところ、24日午前8時45分ごろ、県警ヘリコプターが登山道で手を振って救助を求めるKさんを発見し、収容した。
Kさんにけがはなかった。
今治署によると、Kさんは23日早朝に明神ケ森を目指し入山し、その後道に迷ったという。
入山口や登山ルート、発見場所等、県警に問い合わせましたが詳細は教えていただけませんでした。
福見山方面ルートなら登山道も明瞭です。
白潰への縦走路、大井野方面(北斜面)、奥黒滝方面(南斜面)は、イノシシやシカが通るけもの道ほどの踏み跡です。
アップダウンや尾根の分岐も複雑、道迷いに陥る可能性も高くなります。
明神ヶ森初心者は福見山に連なる西尾根縦走路からの入山をおすすめします。
道迷いの多くは登り疲れた帰り道で多く発生、原因はヒューマン・エラー(不注意)が大半です。
よく見知った道でも気を抜かないように。
|