松山市と東温市の市境が南北に縦断する尉之山、小山岳は、道後平野の南に横たわる丘陵です。
標高は434mと決して高くはありません。
標高2、300mの小ピークを次々に結んで10km以上も続く長い尾根が特徴的です。
松山市内から東に向かって国道11号線や松山自動車道を走行すると皿ヶ嶺、引地山を背に目に入ります。
西は久谷、東は下林、北は重信川に囲まれた、広大な山塊です。
果樹園や緑豊かな水源かん養林に覆われ、山裾にはため池やダムが大小合わせて四十数カ所も見られます。
小山岳の北手前にある、尖った尉之山には中世城郭の城址がありました。
「尉之城」と呼ばれていた城砦が築かれていたそうです。
詳細は不明です。
また、津吉町の登山口に建つ徳川神社は土岐頼政に縁の神社ですが、頼政は「徳川城」を築いたとも伝えられています。
徳川城のあっただろう正確な場所は不明ですけど、尉之城と同じ場所にあったかも知れません。
登山道を歩くと城址独特の形状の道に出会えます。
U字に掘られた堀切道や、城址から小山岳へ延びる尾根には堀切道。
そのほかに、「犬戻り」とも呼ばれる痩せ尾根を利用した狭い通路が現存しています。
小山岳山頂付近(東温市側)は近年、間伐・植林作業が進められ、一段と見晴らしが良くなっています。
眼下には重信川が育んだ田園地帯、対面には高縄山系の山山がずらり、一望です。
西へ目を転じると松山城や大峰ヶ台、その奥に興居島や島島が浮かぶ瀬戸内海まで見渡せます。
尾根の南側(松山市側)は自然林が残っています。
雑木越しに東温アルプスのほか、山並みの向こうにちらと顔を出す石鎚山も遠望することができます。
苗木が成長するまでは、素晴らしいパノラマを見ながらの尾根歩きが楽しめるでしょう。
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