四国カルストは、愛媛高知両県に渡って多くの市町村にまたがる広大なカルスト台地です。
東西約25km、南北約3kmもの広大な面積を有します
四国カルスト県立自然公園、愛媛森林浴八十八ヶ所の第23番(大野ヶ原ブナ原生林)。
※愛媛県においての四国カルスト県立自然公園は、大野ヶ原、及び、五段・天狗高原。
ほかに、大川嶺・笠取山周辺、小田深山、古岩屋まで含まれます。
ここでは、大野ヶ原、五段高原、天狗高原をご紹介します。
国道440号線が南北に縦断する地芳峠を境に、西に大野ヶ原、東に姫鶴平、五段高原、天狗高原が位置しています。
大野ヶ原はほとんどが愛媛県に属し、姫鶴平、五段高原、天狗高原は愛媛・高知の県境が南北に分けるように走っています。
標高は1000mを越え、高原の名がふさわしいほどに緑の絨毯がなだらかな丘陵地全体を包んでいます。
視界いっぱいに牧草地が拡がる様は、何度訪れても圧巻です。
そのスケールの大きさは訪れたすべての人々を魅了する四国の宝です。
高原一帯は国から大規模牧場の指定を受けていて、戦後開拓された牧草地には多数の牛が放牧されています。
県道公園線のすぐそばで牛たちがのどかに草をはみ、牧歌的な風景に心が和みます。
大野ヶ原は白黒の乳牛、姫鶴辺りは肉牛の黒毛和種、五段高原は褐色の土佐和牛。
放牧されている牛が微妙に異なっています。
※ごく希に、柵から出た牛が車道を歩いているときもあります。
高原内のドライブはゆっくり静かに!
カルスト地形は、九州の平尾台、山口県の秋吉台が有名です。
四国カルストを含め、日本三大カルストと呼ばれています。
その他、広島県の帝釈台、近江カルスト、青海カルスト、八戸カルストなどもあります。
日本三大カルストの中でも四国カルストは、最高峰の天狗高原(天狗の森)1484mなど、もっとも標高が高いのが特徴です。
カルストとは、
・巨人の足跡とも呼ばれるすり鉢状のくぼ地=ドリーネ
・ドリーネが発達した鍾乳洞
・複雑な形をした岩が林立するカレンフェルト
などの特徴的な地形が見られる石灰岩大地・地形のことを云います。
四国カルストの誕生は約3億年前に遡ります。
赤道付近で誕生した海底火山の噴火が約2億5千万年前に終息。
海底火山の山頂付近にさんご礁が発生し、厚く堆積、カルスト地形の元となる石灰岩地層が誕生しました。
約1億5千万年前、石灰岩地層は地球規模のプレート移動によって海溝に沈み込みます。
約200万年前の四国山地の隆起によって地上に露出しました。
地上に出た後は雨による浸食を受け始め、カレンフェルトやドリーネなど独特のカルスト地形を形成しました。
周辺では、多数の洞窟が確認されています。
横穴は羅漢穴、丸野洞穴群など、縦穴は竜王洞、姫ヶ渕縦穴、笹ヶ峠縦穴など。
竜王洞は深さ160mにもおよぶ巨大なものです。
※現在、見学入洞できるものは少数で、羅漢穴は入れますが照明設備等はありません。
ハンカイソウなどの高山植物が群生。
貴重な石灰岩植物やヒメユリやヤマシャクヤク、リンドウが見られます。
国民宿舎天狗荘の周辺はシラカバやアカマツの自然林、けやき平にはブナ、トチ、ケヤキの大木が群生しています。
猪伏山国有林内には“猪伏の大トチ”という巨木があり、幹周り6.26m、樹高30mです。
大部分が愛媛県内にある大野ヶ原は、東西4.5km、南北3km、広さは740haと広大です。
カルスト地形が生んだ不思議な話が多い土地でもあります。
平家の落人伝説や、弘法大師と天の邪鬼が碁を打った昔話、竜になった娘の話などが有名です。
明治時代は善通寺第11師団の砲兵演習場、昭和に入ってから軍馬の放牧場になりました。
現在のように農業や酪農に利用されてはいませんでした。
大野ヶ原が本格的に農地開拓されたのは太平洋戦争後のことです。
詳しくは、「大野ヶ原へ行こう!」をご覧下さい。
姫鶴平から五段高原にかけては、高原そのものが牧草地となっています。
牧場では、近隣の畜産農家から牛を預かり育成されています。
柳谷産業開発公社が運営しています。
春~秋の約半年、100頭以上の牛が抜けるような青空の下、豊かに育てられています。
天狗の森、黒滝山については「天狗の森・黒滝山へ行こう!」をご覧下さい。
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