引地山は、皿ヶ嶺のすぐ西にある、なだらかで優しい姿をしたお山です。
皿ヶ峰連峰県立自然公園。
林道引地線沿いの登山口から皿ヶ嶺へ至る縦走路の途中に踏む頂のひとつが引地山です。
山頂部は、険しくもなく、尖ってるでもなく、森に包まれたなだらかです。
山頂標や三角点が「ここが山頂です」と教えてくれるくらい、そっと、登山者を迎えてくれます。
引地山と皿ヶ嶺の間にある面白嶽の方が、胸を突くような急登の登山道や、引地山より標高も高かったりします。
皿ヶ嶺から引地山にかけて真横になだらかく走る尾根は、市や町の境界線にもなっています。
主な登山道はその尾根に設けられています。
道標が分岐毎に完備しています。
東温市の方々がボランティアで草刈りされてるおかげで道も明瞭なので、迷う心配も少なく、安全です。
面白嶽の西側のみ、先に述べた通り、急斜面になっています。
降雨時や積雪・凍結時の通行は控えた方がいいでしょう。
山の南側を巻く安全な迂回路がありますので、晴天時もそちらをおすすめします。
登山道のあちらこちらで、胴回りも太く立派なブナやミズナラの大木に出会えます。
尾根の南側、久万町側は傾斜が緩やかで植林帯が多く目立ちます。
一方で北側、東温市側は比較的急傾斜なこともあり、自然林・雑木林がとても残されています。
県のレッドデータブックにも記載されている貴重な動植物にも出会えます。
雑木林は、四季折々に美しい表情を見せてくれます。
自然豊富な皿ヶ嶺周辺には一年通して多くのハイカーが訪れます。
引地山方面の入山者はとても少ないので、森林浴をゆったり満喫、独り占めです。
(久万スキーランドのゲレンデが面白嶽の迂回路から50mほどの距離にあります。
冬季は、ずっと音楽や歓声が響いてきます。
逆に、いざという時、緊急避難や物資調達もしやすい、かな?)
山頂、ピークは、「東明神」三角点のある場所ではありません。
現地に行ってみると分かりますが、三角点の場所は最高地点ではありません。
誰かの山頂標があったりしますが、三角点から北東に数分移動した場所の方が10mほど高くなっています。
そこは、赤柴峠と呼ばれる、縦走路と上林からの登山道が出会う古峠です。
松山、久万、東温の境界線も交わるポイントです。
麓から見ても尖って見えるのはこの赤柴峠の場所です。
皿ヶ嶺も最高地点より10m低い三角点を山頂とする地図があるように、引地山も間違っています。
三角点は測量ポイントです。
三角点の地図記号の△は、山頂を示す▲ではありません。
「東明神」三角点は明治33年に設置されました。
当時の資料によると、一帯は「赤シバノトウ」と俗称されていたようです。
(トウ=峠は、淡路ヶ峠や芝ヶ峠のように山と同じ意)。
赤柴峠が山頂だと引地山の標高はもう10m位、高くなります。
|