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小山岳から
ヨソ山から
五葉が森から

高縄半島の中程、松山・今治・西条・東温の市境に、
東三方ヶ森北三方ヶ森 はあります。

高縄半島の中心に位置するお山です。
山塊の中央に位置するため、山頂を拝める場所も少なく、
実際に登られた方は意外と少ないかも知れませんが、
複数の登山ガイドブックにも紹介されている、
中予を代表するローカル名山です。

東三方ヶ森、北三方ヶ森を覆う豊かな森に降った雨水は、
石手川、重信川、鈍川、そのほか大小多数の河川となって、
松山・今治・周桑平野の田畑を潤し、下流域に住む数十万人の生活を支えます。
貴重な水源の森の中心に座するのが東三方ヶ森、北三方ヶ森です。

東三方ヶ森は、標高1232.7m。
今治市、東温市、西条市の境に位置しています。
四国百名山です。


北三方ヶ森は、標高977.6m。
松山市と今治市の境に位置しています。

では、
南三方ヶ森西三方ヶ森中三方ヶ森はご存じですか?

東三方ヶ森と北三方ヶ森の間に実在した(する)お山の名前です。
現代の地図には載っていません。
だから、知らなくて当然です。

でも、ちょっと昔までちゃんとあった山名なんですよ。

情報化が加速する一方で、地図(データ)にない地名はどんどん忘れ去られていく傾向にあります。
私たちのご先祖様が名付けた南三方ヶ森も西三方ヶ森も中三方ヶ森の名も、
地図に載っていないと云うだけで、無名峰となりつつあります。

けれど、山名は忘れ去られてもその名を冠していたお山は消えることはありません。

今回は、お山に名前を取り戻すお話です。

まずは、ことの発端から。

「次のお山歩、どこに行こうかな…」と、さらっと地図を見ていた時のこと、
些細なことが気になりました。

東三方ヶ森北三方ヶ森
…。
東と北があるのなら、西がついた、三方ヶ森や西三方ヶ森はないのかな? と。

早速、目を皿のようにして高縄半島一帯を見て回りましたが、
それらしき名前のついたお山は載っていませんでした。
そのときは、あったら面白いぐらいの軽い気持ちだったので、すぐにあきらめました。

でも、そういう子供じみた小さな疑問が出発点になりました。

そんな疑問も忘れかけていたある日、
明治・大正時代の貴重な書籍のデジタルスキャン・ファイルを閲覧できるサイト、
国立国会図書館デジタルアーカイブポータル」で
愛媛関係の資料を検索、閲覧していた時、
三方ヶ森西三方ヶ森、さらには、三方ヶ森の文字が目に飛び込んできました!!
「おおっ!」
真夜中だったにも関わらず、声を上げてしまいました。

あとで詳しく記しますが、少なくとも明治から大正にかけてそれは確かに存在していたのでした。
まるっきりの思いつきだったことがホントに実在したという、妙な高揚感は忘れられません。

その後も、「○三方ヶ森」と記載のある資料を求めて、
ネット上で、図書館で、検索・閲覧を継続し、役場に問い合わせたりもしました。
一旦、気になりだすと人間の目は不思議なもので、
蛍光ペンで印を付けたかのように、「○三方ヶ森」の文字が目に止まりだしました。
結果、昭和30年代までに書かれた市町村史、山行記などの文献に載っているものがあることがわかりました。
けれど、集まったのはいずれも文字で書かれた情報ばかり。
しばらくは行間から山頂の位置を想像するしかありませんでした。

転機が訪れたのは2009年の初夏のこと。

愛媛県立図書館でいつものようにお山関係の調べ物をしていたら、
隣の机でたたみ2畳もあるような大きな古地図を拡げる人がいました。
元来、古地図も好きな質なので、こっそり、興味津々。
その人が所用で席を立ったすきに、速攻、地図を覗き見ました。
それは明治時代初期に作成された温泉郡の地図で、ほとんど手書きに近いものでした。
“もしかしたら…!!”
その日は閉館時間も迫っていたので、地図の名前や分類番号をメモするだけにとどめ、
翌日、朝イチで古地図の閲覧を申し込みました。
と同時に、周桑郡、久米郡、風早郡、越智郡など、同種の地図があることも判明。
折りたたまれた地図を丁寧に机いっぱいに拡げ、筆で書かれた手書きの地図をなめるように見回すと、
現代の地図には載っていない地名・山名がふんだんに載っていて、
「忘れられたお山」探しをしていた僕にとって、まさに宝の地図!
地図の端っこ、隣郡との境界線をたどると、
三方ヶ森西三方ヶ森三方ヶ森の文字が次々と見つかりました!
ついに、山名が載った地図を見つけることができました。

おまけに、お山の位置は、資料の行間から想像・推測していた場所とほぼ一致。
そのこともちょっとうれしい瞬間でした。

というわけで、前置きが長くなってしまいましたが、
次から、以前、中間報告的に発表した資料から紹介しつつ、古地図から判明したほぼ正確な場所を特定して行きます。

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